建築CAD演習1


課題1:美しい住宅( U氏邸 )の平面図の制作


本課題は製図課題でなく,あくまで設計課題として提示するが,初歩の初歩であるため,あまり建物の形の決定に直接利くような厳しい条件は特に無いものとする。

施主は60代を目前にしており,既に子供(1男:未婚, 1女:既婚で子持(1男1女))は独立して家を出ているため,夫婦(男性側は東証1部上場企業の技術部長クラス,女性側は兼業主婦でfreeの雑誌編集者)が2人で老後の生活を送る場を求めているものとする。まだ男性側の定年まで間があり,2人共元気で介護が必要となるまでに相当の年月があるため,介護に必要な設備施設類は体が不自由になった段階でそれに応じた設備施設を整えるものとし(一般にこの方が無駄が無くて能率が良い),今回は考慮は不要の意向で,とにかく瀟洒で見ていて美しく楽しい住宅を求めている。子供や孫が泊りがけで遊びに来たり,気の置けない仲間とのパーティを開いたり,男性側が無事定年の暁には戸締りをして長期の海外旅行やクルージングに出かけたいといった生活に対応する場が欲しいとの希望を有している。


敷地は22m X 22mの正方形(約150坪)で,6m幅の前面道路に西側の全面が接しており,北摂の第1種住居専用地域(建蔽率40%, 容積率80%)にあるものとする。敷地は北東側がやや低くなる斜面にあるものとするが、今回はこの想定を考慮しなくてもよい。敷地の大きさを存分に生かした豊かさが実感できる設計にしたい。


基本設計の取り掛かりとして,まず平面図を完成させ,提出のこと。内部の部屋配置,家具配置等は,各自の考えで変えてもよいが,なぜそうするかの明確な説明を用意のこと。例示の通りの図面で作業を進める場合は,最低限南側に面しているLDKと寝室に挟まれた部屋について,各自なりの使い方を工夫し,その結果を家具の配置や室名に反映のこと。平面図はA3用紙1枚にレイアウトし,プリントアウトして提出のこと。学科,氏名,番号(下記提出要領参照)を記入のこと。



なお,プリントアウトした際,必ず寸法線で指定する長さを物差しで測って,縮尺通りの長さになっていることを確認のこと。

ここに例示する建物以外の建物を描いてみたい場合は歓迎するが,勉強になることを確認するため、予め資料(平面図、立面図、スケッチ等)を用意して担当教員ないしTAと相談のこと。


構造は,耐震を考慮してRCの柱梁構造を原則とするが,RCの壁構造や木造でも差支えない。ただし木造の場合,むやみに柱を太くしないこと。また,壁もむやみに厚くしないこと。また、RCの壁構造の場合には、壁厚を十分取り、しかも横長の窓を設けないこと。構造の選択にかかわらず常識的な寸法で描くために,身のまわりにある住宅の柱や壁をよく観察のこと。ついでに,戸や窓の大きさおよび厚さもよく観察のこと。建物の中を,工夫して変更するのはよいが,意味もないのに勝手な機能を付加しないこと。


また,引き違い戸は,右側が手前に来るのが標準であることに留意のこと。

ところで,例示する図面の元になった参考図は大熊喜英氏の作品で,氏はフリーハンドで図面を描くことで著名な設計者であった。但し,寸法は,物差しを使ってきちんと測って描いていた。昔の作品であるので,図中の数字は尺貫法(1間=6尺,1尺=10寸=30.3cm)である。留意のこと。


図面と文字は、それぞれA3用紙の中に美しく納まっていること。したがって、図面を描き始めたら、最後まで描いてからプリントアウトするのでなく、全体の大きさや字配りが掴める程度で一度プリントアウトし、図や字の配置(レイアウトという)を再検討すると良い。枠はとっても取らなくてもよいが、取らない場合はとる場合に比べて一般にレイアウトが難しいので、その点もよく考慮して決心のこと。枠をとる場合は、枠と用紙の端との間の幅が美しいように配慮のこと。こうした寸法は、各自の眼に頼って決めることになるので、日頃から自分の眼に美しい物にふれさせて鍛えるように配慮のこと。


部屋の名前を書き込む際は、フォントが小さすぎると年寄りが読みにくいから注意のこと。また、それらの文字が既に描かれている線にかからないように書き込むこと。どうしても線にかかる場合は、下になる線を必要なだけ消すか、離れた個所に書いて→で当該個所と結ぶ(引き出し線という)と良い。


「U氏邸」を参考にしてえがく場合、出来る平面図は縦と横方向の直線が主体となって構成されているので、あまり妙な角度の斜線や曲線を入れると元の美しさが壊れるので留意のこと。文字を入れる場合も、このことに留意してフォントを選ぶこと(例えば、毛筆で書いたような書体は×)。庭を含む配置図を描く場合、樹木や池の表現を工夫しないでグニャグニャとした形を描き込むと、全体としての美しさが壊れるので留意のこと。


なお、以上の注意は、あくまでもデザインをする時の初心者を前提にした原則であり、既に自分でデザインに自信のある人は対象外である。興味のある人は、田中一光さんの作品等を参考に自分の眼を鍛えること。


図面はどこまで描けば完成かを一概に言うのは難しいが、本演習の場合、一見して判るような不足部分や誤った部分が無いか、用紙全体としてどこかに薄い所や白々とした所が無いか等が判定の基準となる。なお、用紙全体にわたって描き込まれていても、線が細いと力のない図面になるので、使用する線の太さと使用箇所には留意のこと。



 

締め切り:11月28日(土) 1時間目のクラスは10時10分, 2時間目のクラスは11時40分




 

   ------ 課題 提出要領 ------


 

(1)プリントアウトした結果に,学科,氏名を書くとともに,次の番号(半角文字を使用のこと)を付けよ。


 

(2)図面はA3用紙にプリントアウトして提出のこと。


(3)プリントアウトした図面の元になったファイルも念のために提出のこと。
       ファイル名書式  kd20xxx氏名(xxxは学籍番号下3桁)
       提出先のDropboxのアドレスはインフォメーションシステムの個人伝言とメールで案内する。

(4)原則として、他人による提出の代理は認めない。各図面を受け取る際、各自に対し短評を口頭で行うためである。
       この短評は,次の課題を実施する際の参考にされたい。